おわりに 『マンガ 岡山城ものがたり』を最後まで読んでいただいた皆さん、いかがだったでしょうか。地名や人名、それに歴史用語もたくさん出てきましたし、普通の漫画に比べると字の数も多く、場面も目まぐるしく変わりました。少し難しくなってしまったかもしれません。お許しください。それだけ岡山城についての歴史は豊かで奥が深いのです。本書のストーリーは創作ではなく、現実にあった内容に基づいて歴史学の立場から組み立てるように努めました。とは言っても、登場人物のセリフは全くのフィクションですし、言葉づかいも現代のものです。さまざまな風景や建物、服装なども確実な証拠によるものではありません。また歴史的な事象についても、池田光政以降は根拠として信用できる文書類がたくさん残っていますが、古い時代については少なく、あやふやな部分が随所にあります。特に宇喜多直家については江戸時代になって書かれた軍記物に基づく度合いが高くなっています。軍記物は、史実も含まれていますが、作り話も多く含まれ、人名、その業績、年代などは書物によって違うこともあります。本書に示した内容についても、歴史学者の間でもさまざまな説が立てられている個所は代表的な説に従っています。今後の研究で訂正されるかも知れませんね。 94
元のページ ../index.html#96