マンガ「岡山城ものがたり」
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乗岡 実 歴史はまだ分かっていないことも多いのです。だからこそ楽しいのかもしれません。岡山城の歴史といえば、天守や櫓の特徴、御殿での暮らし、石垣や屋根瓦のこと、込められている職人の技、城下町の造りやそこに暮らす人々の営みといったことも重要です。しかし、本書ではそうしたことがら以上に、節目となった代表的な城主やその城主を取り巻く人々が、地域の発展のためにどう尽くし、それが社会の中でどういう意義をもったかを示すことに重きをおきました。岡山城で最も重要な本丸は、領国を治める城主=武家に関わる軍事の要であり、住居であり、政治を行う場でもあったのです。岡山城は物体ですが、造ったのは生身の人であり、血と汗の結晶です。そこを舞台にさまざまな人間関係がくりひろげられ、今を成り立たせている地域の歴史を大きく動かしたのです。現在の岡山市の発展があるのも、そこに岡山城があったおかげです。本書を通じて、歴史の面白さを感じ、岡山城や岡山のまちの成り立ちに興味をもっていただけることができたとすれば、とてもうれしく思います。そして、ぜひとも岡山城跡を訪ねて、本書に登場した先人たちに思いをめぐらせてみてください。   二〇二二(令和四)年十月     95

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